【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。
たった一〇分の休み時間。
大賀君はその時間さえ特別なものに変わらせてしまう。


「葉由さっきカムの曲聴いてた?」

「えっ、うん。聴いてた」

「やっぱり。音漏れてた」

「音量大きすぎたかな。ごめんね」

「いや、嬉しかったけど」


人差し指で頬をかく大賀君の横顔は、ちょっとだけ、照れ臭そう。



「葉由はどの曲がすき?」


首を傾け、頬杖をつく。リラックスした大賀君に、私はやっぱり緊張気味に答える。


「えっと……全部すきだけど、やっぱり”陽だまりの世界で”かなぁ」


「そうなんだ。あれ俺も結構好き」


「一緒だ……」


スマホを両手で握りしめてはにかむ私。声を出して笑う大賀君。


「そんな嬉しそうにすること?」


そう言う大賀君の顔こそ、嬉しそうに見える。私の髪をくしゃくしゃっとかき混ぜたのは、照れ隠し……だったらいいのにね。


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