【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。
後ずさりすると、がたっと机に腰がぶつかった。


真っ赤な顔して、唾を飲み込む。


大賀君の彼女の仕事は、ソレ、なのかもしれない。


気を失うんじゃないかと思うほど、鼓動が速くなっていく。


あ……。大賀君が近づいてくる。


もう私の後ろに逃げ場はないのに。


「俺たちまだキスすらしてないけど」


窺うような上目遣い、その顔が近づいている。


ど、どうしよう。どうしようどうしよう。


混乱しながら、でも本能的的に、ぎゅっと目も口も閉じて、息まで止めた。


「……ふ、ははっ」


吹き出した大賀君が、私の肩に頭をうずめた。


かちんこちんに固まる私の方へ、そのまま顔を傾けると「嘘だよ。何もしない」。


よくそんなこと言える。もう十分なことをしているのに。


「……もう、どうしていいのか、わかんなくなるよ」


そう、両手で赤面を覆った。


「ゴメンゴメン」と言いながら、大賀君は未だくつくつと笑っている。



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