【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。
ぱちっと音がして、手のひらの向こうが明るくなった。


電気をつけるタイミングは、……今じゃないでしょ……。


俯き気味に視界を開くと、いたずらっぽく笑う大賀君がいた。


「すんごい顔赤いよ」

「もう……」

「怒んの?」

「怒らないってわかってるくせに……」


笑いながら話す私に、大賀君は目を細めた。


まだ雨はざあざあ降りしきっている。


灰色の雲が隙間を広げ、穏やかな光の柱が降り注いできた。


「晴れ雨だ」


窓に駆け寄る私に、大賀君ものんびりとついてくる。


そして「虹でも出てんの?」と窓の鍵に手を伸ばした。


「大賀君知ってる?虹ってね、太陽と反対の方向にかかるんだって」


「……え?」


私のうんちくに、なぜか目を丸くする大賀君。


説明が悪かったのかもしれない。



「晴れ雨の空の、太陽が出てる方向を向いて立つでしょ?そこからくるっと背を向けると、虹がかかってるの。あぁ、でも、運が良ければだけどね」


こんなに丁寧に説明したのに、大賀君は「……へぇ」と生返事する。



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