【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。
ひどい、ひどい。ひどい。


会話の選択を間違えたのは私だけど、こんなに無関心にならなくてもいいのに。恥ずかしいどころじゃない。


それでも「葉由」と呼ばれれば「なに?」と忠犬のように返してしまう。


「教室戻ろ」


もう、この人はどれだけ人を振り回すんだろう。


大賀君は確かに私の手のひらを握って、隣を歩いているんだけど。心ここにあらず。


たまに小さく口ずさむような歌声が聞こえてきて、私はなんとかそれを拾い上げようと、耳を澄ませ続けた。



僅かに聴こえてくる明るい旋律。それとは対照的な寂しそうな横顔。



私の目は吸い込まれるみたいに大賀君を捉えてしまって、離れなくなる。


大賀君の隣を歩くのは幸せだ。
だけど、寂しい。


それはきっと、両想いじゃないからっていう理由と。


もう、あとひとつ。
大賀君がいつも、とても寂しそうだから。



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