【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。
それから数日経った放課後。


カムのメンバーが教室前の廊下で輪を作っていた。


珍しく、穏やかじゃない雰囲気。


それを察した私と栞ちゃんは、こっそりと教室から覗いている、というわけなんだけど。


「だからそれじゃあ、前のと変わんないじゃん」


「もうカバーでよくね?」


「じゃあ俺と大賀が考えてきたこれ、どうなんの?」


なんの話かは、さっぱりわからない。


笠間君、内海君、栗原君の言い合いに、大賀君は深く溜息をついた。


「……なんなん。じゃあどうすればいいんだよ?」



大賀君の持っていた紙は、手の中でぐちゃぐちゃに潰されてしまった。丸まった紙の折れ目から五線譜がちらっと見える。


「カムのみんな……なんかやばくない?」

「う、うん……」


栞ちゃんと目を合わせて、また廊下に視線を戻す。



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