【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。
ごくっと唾を飲み込んだ時、栞ちゃんは真面目な顔をして言った。
スッと、こちらに一本指を立てる。


「カムの……いや、”COMETOGETHER(カムトゥギャザー)”のバンド名の由来って知ってる?」


「ううん……知らない」


栞ちゃんは少し私に近づいて、小さな声で言う。


「COMETOGETHERは、Come togetherじゃなくて、Come to get her。カム トゥー ゲット ハー」


栞ちゃんのうすい唇が、一単語ずつ、強調する。


「……女の子捕まえたい、のかな……?」


「そういう噂だよ。女捕まえにおいでー!みたいなメンバー募集の仕方してたもん。結局誰も増えなかったけど!」


ざまーみろ!と笑う栞ちゃんに、苦笑いしてしまう。


うーん。だけど。
素人目に見ても、カムは音楽的にレベルが高い。外部から入りづらいのは、そのせいもある気がする。


だけど、言わない。そんな言葉は求められてはいなそうだ。


「メンバーも濃すぎるしね……。ちゃらちゃらするためにバンド組んだんじゃないかな!?」


栞ちゃんは眉間に皺を入れながら真剣にそう言うと、また一口、ウインナーを齧った。



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