【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。
「……ゆっ、葉由!!!」


強く揺さぶられた肩の痛みで、目を開けた。


窓から差し込む強い西日に目を細めると、涙がつたっていくのに気付いた。


ここは、教室だ。

放課後……?教室には、私と……大賀君しかいない。


「葉由、大丈夫?」


「……え?」


隣の大賀君の机の上には、楽譜とサージカルテープが散らばっていて、製本しかけたものが、床に落ちていた。


「めちゃくちゃうなされてたから……起こしたんだけど」


状況がやっとわかった私は、慌てて涙を拭った。


手が震える。呼吸さえ……。息を吐ききって、大賀君に「ごめん」と伝えてから、床から楽譜を拾い上げた。


椅子に座って、まだ呆然としている私に……大賀君の手が伸びてきた。


私の手が、バシッと振り払った。


こんなことを反射的にした、自分自身が一番驚いている。


なんで?


「ごめ……」


大賀君は「ううん」と気まずそうに笑った。


そんな顔をさせたいわけがないのに。


都合のいい女でいいから、大賀君を暖める存在でいたいのに。


……それが、いけないって。
私が私を止めているんだろうか。


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