【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。
……久しぶりに蓮の夢を見た。


夢を見せるのは私の脳。
私の中の私は、蓮をないがしろにしするなと警告しているんだろう。


「ごめん……帰るね」


何か言いたそうにしている大賀君のこと、気付かないふりをして、教室を出た。


……今、頭の中は、蓮でいっぱいだ。


蓮は今どうしてるの?寝ている?

それとも意識だけどこかにあるの?

それとも……なにもないの?


私はどうしたらいい?

どうして欲しい?

言ってくれたら、私は全部その通りにする。



……涙が溢れ出る。


あの日、私が家から出なかったら。
蓮に会いに行かなかったら。


私が、蓮との約束を、守っていたら……。
そしたら蓮は絶対に、今だって、生きていたのに。


むせかえるほど泣いた。
もう歩けそうもない。


誰もいない一階廊下の片隅に、ずるずるとしゃがみ込んだ。



< 63 / 206 >

この作品をシェア

pagetop