【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。
「あの……大賀君って、つられやすい?」

「え?」

「私が泣いてるから、つられて、そんな悲しそうなのかなって」


大賀君は一瞬目を丸くして、「あぁ、そうかも」と目を伏せた。


「えと、ごめん」


傷つけた気がして謝ったら、大賀君は首を横に振って、柔和な笑みを浮かべた。


そして、「あのさ」と言って続ける。


「さっきうわごとみたいに言ってた“蓮”っていうのは、葉由の大事な人かなにか?」


「え……」


言葉に詰まる私を、大賀君は待たなかった。


「ううん、なんでもない」


フイっと目をそらし、去っていく彼の後ろ姿は、とても寂しそうで。



< 65 / 206 >

この作品をシェア

pagetop