【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。

放課後の軽音楽

付き合って3週目。


「で、内海にめちゃくちゃ怒られた」


「あはは……それであんなに内海くん怒ってたんだ」


大賀君と教室で、たわいもない話をしている。



二人で泣いたあの日から、土日を挟んで今日が来た。


大賀君は、びっくりするくらい、いつも通りだ。全然気まずくない。


大賀君のコミュ力の高さが簡単にそうさせるんだろう。


「葉由」


名前を呼ばれてハッとした。


「はい!」


「あはっ、いい返事。一限移動教室だよ。栞ちゃんが呼んでる」


「あ、ごめん!」


音楽の教科書を引っ張り出して、栞ちゃんのところまでかけていく私を、大賀君はくすくすと笑いながら手を振った。


一限は選択授業だ。


音楽、美術、書道のどれかを選んで、一年間その教科を勉強する。



選択授業で音楽をとった私と栞ちゃんは、音楽室の窓から土砂降りの雨をみていた。


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