【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。
「葉由、西田っちと喋れたね……!」


自分のことみたいに喜んでくれる栞ちゃんに、笑顔で頷く。


いや、よく考えたら、あんまり喋れてはいないけど。


だけど、嬉しい。「葉由」って呼んでくれる人が増えたのは事実だ。


音楽の授業を終えて、西田さんと栞ちゃんと三人で教室に戻る。


見た目通り西田さんは、コミュニケーション能力が高い。ズバ抜けて。


テンポの合わないだろう私と、ここまで合わせて喋れるなんて。



そう思いながら会話するうちに、自然なやりとりに近づいていた。



「じゃあ西田さんは、内部生なんだ」


「うん!カムとも仲いいよ」


「ていうより西田っちって、内海くんと付き合ってるじゃん」


「あー、そうね。うっかり付き合ってるよね」


内海君?それって……。


「西田さんって、”マリちゃん”?」


「うん、西田万理(にしだまり)だよ?」


「あ……そうなんだ」


「なんで?」


思わず目が泳ぐ。


だって、西田さんが浮気したって内海くんが話してたの聞いちゃったから。


それに、大賀君狙いってさっき言ってたような気もする。いや、言っていた。絶対。


「あぁ、大賀はね?アイドル的に好き。内海はいいんだけどさぁ……。重い」


文句っぽく溜息をつく西田さんは、かなり手厳しい。


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