【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。
「でも内海くんと西田さん、雰囲気が一緒っていうか、お似合いに見えるよ」


「確かにねぇ、性格は合うけど……」


西田さんの口から不満がポロポロ零れているとき。


「いたっ!」と西田さんが短く叫んで、後ろ頭を押さえている。


西田さんの後ろにはチョップを構えた、内海くん。毛先がピンクの金髪は、やっぱり彼によく似合う。


よく見たら西田さんと内海君って、おそろいのピアスをしているんだ。
なんだ、ラブラブだ。


「マリちゃんひどくない?」


「うわ、内海」


「うわじゃないっしょ!彼氏だよ!?しかも付き合ってそろそろ1年!」


ウンザリしたように、西田さんはわざとらしく溜息をついた。


「ん、まぁいいや!マリちゃん今日放課後、練習見に来ない?めっちゃいい曲仕上がったから」


「え!新曲?!いく!!」


さっきまでの表情とは正反対に、目を輝かせる西田さん。


満足げな顔をした内海くんが、ふと、こちらに目を止めた。


「……あれ?葉由ちゃんじゃん!」


「うん」


「葉由ちゃんも来なよ。大賀喜ぶよ!あときみもよかったら」


「わたしは部活あるからなぁー。いつかライブで聴くの楽しみにしてる!」


内海君にとびきり愛嬌のある笑顔で栞ちゃんが答えた。


栞ちゃんはやっぱりすごい。そんなにたやすく人と関われるんだから。


「じゃあ葉由、あたしと二人で行こっか」


今日初めて喋った西田さんと二人で……?


不安がよぎった。だけど、私は栞ちゃんみたいになりたい。


だから、西田さんの誘いに、勇気を出して頷いた。



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