【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。
「あれ?葉由?」


その声にどきっとする。だって大賀君の声だから。


振り返ろうとした時、ぐいっと後ろ髪を掴まれた。


「え……?」


「これ、可愛いね」


そう言って、すぐ後ろから私を覗き込む大賀君っていうのは、容赦ない。


心拍数をどこまで上げさせる気だろう。


「あたしもいるんですけどー」


ふくれっ面の西田さんが言う。


「あはは、ごめん。内海に誘われたって?」


そう聞く大賀君に、「そうそう。葉由と一緒にね」と西田さんが返した。


大賀君は私たちを見て、ゆっくりと首をかしげる。


「ふたりって仲良かったっけ?」


彼の視線は、すっと私にずれた。


「あのね、西田さんと音楽が一緒で……喋って」


うん、うんと聞いてくれる大賀君に、ドキドキと心臓が鳴り続ける。余計に緊張してうまく喋れなくなる、悪循環。


「なんか……大賀。今回ガチ?」


西田さんが呟いた、ちょうどその時。



「アレー?見学者?なんで入んないの?」と後ろから明るい声がした。



ベースの笠間くんだ。



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