【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。
【大丈夫だよ、君のこと
いまとなっては
僕が一番
よくわかっているから。
誰にも見せそうにない
無邪気な笑顔
僕の心のどこかに
仕舞ってしまって
そうやって。のんびり、
独り占めしていいですか?】
優しい声。暖かなメロディライン。
誰が聴いたって明るいラブソング。
……それなのに。苦しくて仕方ない。
だって。ボーカルの人が、あんなに切なそうに歌うから。
私の不安定な心が、敏感になりすぎていたのかもしれない。
例えば……だれかの寂しさに。
その姿が滲んでいく。ポロっと、涙が零れ落ちる。
こんな感覚は初めてだ。
胸の奥がぎゅうぎゅう痛くなって、喉元までこみ上げてくる。
わけわかんない……。
周りに泣いている人なんかいないのに。
涙の伝った頬を手で拭う。