【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。
一人で第二音楽室に戻ると、もう部屋のドアは全開になっていた。


空気の入れ替えかな、と思いながらも、西田さんがいるか確認しようと、覗いたとき。


「てか、大賀の葉由に対する接し方って、いつもの彼女の扱いとはちょっと違くない?」


西田さんの声が聞こえて、咄嗟に身を隠した。


でもそうっと……覗き込む。


「えーそう?俺よくわかんない」


「内海はそういうの読む力ないもんね!」


文句っぽい西田さんの声に「マリちゃんひどー」と内海くんが嘆く。



二人の愛情ありきのやりとりに、つい顔が綻んでしまう。



「でも確かにね。大賀最近、女遊びしてなくね?今までなら、彼女いようが浮気すごかったじゃん」


笠間君が黒髪を掻きながら、そう言った。


「だよね!?あたしの友達もこの前”今日は疲れた”とか言って断られたらしくて!」


「マリちゃん……そんなビッチな友達に絶対毒されるなよ!」


「内海うざい」


「ひど……」


知らなかった情報を一気に知ってしまって、動けない。


う……浮気……?



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