【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。
ギターの音をジャカジャカっと鳴らした栗原君が、楽譜を見ながら手を止めた。


「大賀もう女遊びやめたって言ってたよ」

「え!?やっぱり!あたし、見る目あるわぁ」

「「なんでなん?!」」

目を丸くして見を乗り出す、笠間君と内海君。

「いやなんか、飽きたらしいけど」

「葉由ちゃんで満足ってこと?」


内海君は興味津々できいている。


「知らねえよ。本人に訊けよ」


そう言うと、栗原くんはまたギターの音を鳴らし始めた。


西田さんが、振り返る。


「あ、葉由だ!おいでよ!」


手招きされてようやく、第二音楽室に入った。


「ねぇねぇ今話してたんだけど、大賀って女遊びやめたらしいよ」


「……あ……そうなんだ」

まさか。大賀君の噂に【その3】が存在していたなんて。

浮気するなんてこと、そもそも知らなかった。


「大賀って今まで、ほんとに来るもの拒まずだったんだよね。なのに、拒んでるみたいだよ。もうこれは新鮮なナマの情報よ」


「そ、そうなんだ」


本当だとすれば、それはどうして……?



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