【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。
遅れて、状況が読めてきた。
そこにいる大賀君の存在に、心臓が跳ねあがる。
「……二人っきりだね?」
大得意、いたずらっぽい笑みが心臓を急かしていく。
「葉由緊張してるでしょ」
「それは……うん」
「あはは、いい加減慣れなよ」
「……慣れられる気がしないよ」
たまに手を繋いで、目を合わせては、くすっと笑う。
そんな時間がたまらなく愛しい。
大賀君を見上げる私の視線と、大賀君のが、絡み合う。
私のことを好きなんじゃないかって、自惚れてしまいそうなほど、うっとりとした目が……。
じっと、私を捉えている。
心臓がせわしない。
「葉由……」
私の後ろ頭に伸びた大きな手が、少しずつ、大賀君の方へ引き寄せる。
彼の顔とわずかに距離が近づいた。
……き、キス?
唇をきゅっと閉じる。
けどその瞬間、ふっと頭が軽くなった。
大賀君の手が私から離れてしまったから。
「ごめん……」
そんなふうに謝られたら、肩透かしを食らった私は、どうしたらいいんだろう。
恥ずかしい。虚しくなる。みじめだ。
やっぱり自惚れだった。
大賀君が、私なんかに、本気になるはずがなかった。
泣きたい気分だけど、あえて口角を上げて、首を横に振る。
そんな私を横切ろうと、斜めに一歩踏み出した大賀君。
私の耳のすぐ傍で、とまった。
「……俺、葉由のこと……好きかもしんない」
迷いのこもった、だけど甘ったるいかすれ声。
ふいを突かれた私の心拍数は、一気にのぼりあがる。
「……今こっち見ないでね」
そのまますれ違うように、大賀君は廊下を目指して歩き始めた。
目で追った一瞬。
耳まで赤く染まった大賀君の横顔に、心臓が痛いほど動いていた。
そこにいる大賀君の存在に、心臓が跳ねあがる。
「……二人っきりだね?」
大得意、いたずらっぽい笑みが心臓を急かしていく。
「葉由緊張してるでしょ」
「それは……うん」
「あはは、いい加減慣れなよ」
「……慣れられる気がしないよ」
たまに手を繋いで、目を合わせては、くすっと笑う。
そんな時間がたまらなく愛しい。
大賀君を見上げる私の視線と、大賀君のが、絡み合う。
私のことを好きなんじゃないかって、自惚れてしまいそうなほど、うっとりとした目が……。
じっと、私を捉えている。
心臓がせわしない。
「葉由……」
私の後ろ頭に伸びた大きな手が、少しずつ、大賀君の方へ引き寄せる。
彼の顔とわずかに距離が近づいた。
……き、キス?
唇をきゅっと閉じる。
けどその瞬間、ふっと頭が軽くなった。
大賀君の手が私から離れてしまったから。
「ごめん……」
そんなふうに謝られたら、肩透かしを食らった私は、どうしたらいいんだろう。
恥ずかしい。虚しくなる。みじめだ。
やっぱり自惚れだった。
大賀君が、私なんかに、本気になるはずがなかった。
泣きたい気分だけど、あえて口角を上げて、首を横に振る。
そんな私を横切ろうと、斜めに一歩踏み出した大賀君。
私の耳のすぐ傍で、とまった。
「……俺、葉由のこと……好きかもしんない」
迷いのこもった、だけど甘ったるいかすれ声。
ふいを突かれた私の心拍数は、一気にのぼりあがる。
「……今こっち見ないでね」
そのまますれ違うように、大賀君は廊下を目指して歩き始めた。
目で追った一瞬。
耳まで赤く染まった大賀君の横顔に、心臓が痛いほど動いていた。