【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。
【君がすきって言うなら僕は
張り合うみたいに言うだろうね
そんなすきじゃまだまだ僕に
勝てっこないよって】



甘い歌詞。それにそぐわない切なげな微笑。
沸き立つ会場は「大賀君」を呼ぶ声で、あふれかえる。



そんな歓声に喜びもせず、ステージの彼は、ただ歌う。


心を込めて。違う。もっと力強く。


まるで何かを伝えたいみたいに。


気が付けば、必死で歌う彼の姿に、目も心も、何もかも奪われていた。



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