【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。

一カ月記念日

付き合って、今日で一カ月。


選択音楽の授業は、今日からアンサンブルの練習に入る。


好きな人とグループを組んで、好きな楽器で好きな曲を選び、一学期の最後の授業で発表する、というもの。


栞ちゃんと西田さんとグループを組んだ。楽器を選ぶため、保管されている音楽準備室に入る。



「何の楽器がいいかなぁ」


「三人だと限られない?」


二人の会話を聞きながら、私は目に入った黒い楽器ケースに手を伸ばしていた。


「それ何?」


ひょこんと覗き込む栞ちゃん。


「わかんないけど、この形って、バイオリンかなぁ?」


銀色の留め金を数カ所開けて、ぱかっと蓋を開ける。


「バイオリンだ!」


「うわ、なんかお嬢様っぽくてよくない?」


栞ちゃんも西田さんも、声を弾ませる。


だけど、バイオリンのイメージっていうのは、なんとなく高次元。


「バイオリンって難しいのかな?」


私の問いかけに、二人も首を傾げてしまう。


「未知」

「触ったこともない」



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