【完】一生分の好きを、君に捧ぐ。
「大賀ってバイオリン弾けんの?!」

「弾けるね」

「やっっっば」

西田さん、痛いよ。さっきから、私の背中叩きすぎ……。


「すごいんだね、大賀君って!ギターと歌とバイオリンまで!」


興奮した栞ちゃんのツインテールが、ぴょんぴょん揺れている。


「それにピアノも弾けるよね」

楽器屋さんで聴かせてくれた、ラ・カンパネラ、すごく上手だった。


「ピアノまで?すごい!」と栞ちゃんは目を輝かせている。


……大賀君という人は、本当に何でもできる。


すごすぎるよ。ちょっと、いやかなり、寂しくなるくらい。


「放課後、音楽室デート。よくない?」


そんな私の気も知らず、彼は柔らかさに磨きをかけて、にこっと笑った。

「……うん」


はにかんで頷く私の髪を、大賀君はくしゃっと混ぜてしまう。


「うわー、ラブラブすぎて見たくなぁい」


西田さんはべぇっと舌を出して笑い、そのままクラスで一番派手なグループの中へと戻っていった。



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