嘘と秘密と交換日記





「小学生レベルのいたずらかよ」

って、突っ込もうとして、相手の顔を見た。





眞田亜紀乃(さなだ あきの)


毎朝、誰よりも早く学校に来て、
簡単な掃除や、椅子や机をきれいに並べたりしている、

幼稚で悪趣味なイタズラをするわけないような、

まじめな女子学級委員だった。


「これ? コリウスっていうの。 花みたいに鮮やかだけど全部、葉っぱなんだよね」




眞田は、なぜか、寂しそうに呟いた、




「花ことばは『元気でね』」





なんで、そんな花なんて置くんだ。


なんで、そんなに哀しそうなんだ。


なんで、そんなに泣きそうなんだ。


なんで、そんな風にしゃべるんだ。






まるで、




『まるで、お別れみたいじゃないか』









< 94 / 114 >

この作品をシェア

pagetop