嘘と秘密と交換日記
「小学生レベルのいたずらかよ」
って、突っ込もうとして、相手の顔を見た。
眞田亜紀乃。
毎朝、誰よりも早く学校に来て、
簡単な掃除や、椅子や机をきれいに並べたりしている、
幼稚で悪趣味なイタズラをするわけないような、
まじめな女子学級委員だった。
「これ? コリウスっていうの。 花みたいに鮮やかだけど全部、葉っぱなんだよね」
眞田は、なぜか、寂しそうに呟いた、
「花ことばは『元気でね』」
なんで、そんな花なんて置くんだ。
なんで、そんなに哀しそうなんだ。
なんで、そんなに泣きそうなんだ。
なんで、そんな風にしゃべるんだ。
まるで、
『まるで、お別れみたいじゃないか』