LONELY MOON ―ロンリームーン―
息を切らせて玄関に辿り着くと、丁度靴を履き替えているところだった。
急いで俺は声をかけた
「…オイッ」
「…? どうしたの高田くん…そんなに急いで」
「…俺も帰るから…ちょっと待ってろ」
「へ?」
頭の上に?マークを浮かべているそいつを余所に、俺は急いで靴を履き替えた。
息を落ち着かせてそいつの前に歩いていく。
「…おら、行くぞ」
「? う、うんっ」
またぶっきらぼうに、そう言った。
さすがにそいつも戸惑っていたが、俺が歩き出すと、後ろをちょこちょこ着いて来た。
「お前ん家どこら辺だ?」
「え、ああ、こっち!」
指差す方に俺は進んだ。
「え、高田くんの家もこっちなのっ!?」
「違ェ」
「え!?じゃあダメじゃないっ!」
「別に構いやしねェ」
そう答えて進む俺。
すると、そいつは小走りをして俺の隣に来て、笑顔でこう言った。
「もしかして、送ってくれるのっ!?」
「…今更かよ」
そう俺が低く返すと、そいつはくすりと笑った。