LONELY MOON ―ロンリームーン―

feel.

 


それから俺は、毎日じゃあねェが、ちょくちょく学校へ顔を出すようになった。

顔を出すと言っても居るのは専ら保健室で、ソファで寝てる。

でも、5時限目の時間帯だけは、教室へ行く。

そのことに周りは明らかに驚いたようだったが、最近では教室に入っても妙なざわつきは起きなくなった。

まだ変な視線は向けられるが。

しかし、それも隣にアイツがいるから、気になんねェ。

眠気漂う空間、アイツの声、カーテンの隙間からそっと入り込む、暖かい日差し。




5時限目の教室だけは、妙に心地よく感じられた。




キーンコーンカーンコーン…


授業終了の鐘が鳴った。



「きりーつ」



日直が号令をかける。

あっという間の時間だったな。

あとの時間は暇なので、また保健室に向かう予定だ。

挨拶が終わり、教室の出口に向かおうとした時、



「…白瀬、ちょっといいか」


「はい?」



あいつが教員に呼ばれた。

別に俺には関係ねェ、とその場を行こうとしたとき、

ちらり、と教員が俺の方を怪訝な顔をしながら一瞬だけ見た。

…は?

何を言われたワケではないが、それが無性にムカついた。

そのままその教員は教卓の方まであいつを呼んだ。




 
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