LONELY MOON ―ロンリームーン―
「………」
俺は廊下に出たが、その場に立ち尽くした。
…気になる。
俺は教室の前の方の戸のところまで行き、その側の壁に寄りかかった。
…盗み聞き。
何してんだ、俺は?
そんな考えが過るも、身体はそこから離れようとはしなかった。
「どうしたんですか、先生?」
「…いや、あのな…」
その二人の声に耳を澄ませた。
「…高田とあまり深く関わるな」
「…え?」
「昨日なんて、一緒に帰ったそうじゃないか。
もう、あいつの関わるのはやめなさい」
その言葉が、ちくりと俺の胸に痛みを走らせた。
…?
なんだよ、こんなの、聞きなれた台詞じゃねェか。
"関わったらロクなことねーぞ"
「関わっても悪い方向に向かうだけだし――」
"何されるか分かんない"
「あいつのことだ、いつ白瀬に何するか分からない」
"だから早いとこ――"
「――早いところ縁を切りなさい。分かったか?」