LONELY MOON ―ロンリームーン―
 


「………」



俺は廊下に出たが、その場に立ち尽くした。

…気になる。

俺は教室の前の方の戸のところまで行き、その側の壁に寄りかかった。

…盗み聞き。

何してんだ、俺は?

そんな考えが過るも、身体はそこから離れようとはしなかった。



「どうしたんですか、先生?」


「…いや、あのな…」



その二人の声に耳を澄ませた。




「…高田とあまり深く関わるな」


「…え?」


「昨日なんて、一緒に帰ったそうじゃないか。

もう、あいつの関わるのはやめなさい」




その言葉が、ちくりと俺の胸に痛みを走らせた。

…?

なんだよ、こんなの、聞きなれた台詞じゃねェか。



"関わったらロクなことねーぞ"


「関わっても悪い方向に向かうだけだし――」


"何されるか分かんない"


「あいつのことだ、いつ白瀬に何するか分からない」



"だから早いとこ――"



「――早いところ縁を切りなさい。分かったか?」




 
< 26 / 33 >

この作品をシェア

pagetop