LONELY MOON ―ロンリームーン―
 


俺は力が抜けるように、ずりずりとその場にしゃがみ込んだ。

言われ慣れてる。

言われ慣れてんだ。

何を今更、俺は。

だけど、だけど―――。

あいつは、なんて返すだろうか?

なんて、期待しても――。




「高田くんはそんな人じゃありませんっ!!」


「!!!!」




力強くそう叫んだあいつ。

その声に、周りのざわつきは途絶えた。

教員も目を丸くしてるだろう。




「…白瀬、お前は成績だって優秀なんだ。

あんな奴に関わったって―――」


「成績と交友関係は何か関係あるんですか?」


「そ、そういうわけではないが、悪い方向に、」


「高田くんと関わっても私は悪い方向には進みませんし、そもそも高田くんは先生が思うような人じゃないです!」


「…お前は、高田の本当のことを知らないだ。だから―――」


「知らなくて結構ですっ!失礼しますっ」




…!!!

…本当に、なんて神経してんだ、あいつは?

良い子チャンじゃねぇのかよ?



ぐるぐると頭の中が落ち着かない。

そんな中、教室から不機嫌な顔をしたあいつが出てきた。

しゃがみこんでいる俺を見て、「あっ」と声を出すと、いつもの笑顔を取り戻した。



「高田くん!

どうしたの?そんなとこでしゃがんじゃって」


「…なんでもねェ」



俺は立ち上がると、何事も無かったかのように歩き出した。

するとあいつは、昨日の帰り道のように俺の隣を歩いた。



「保健室行くの?私も行くっ」



こいつも何事もなかったかのように、笑った。





 
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