LONELY MOON ―ロンリームーン―
 


「あら、二人仲良く保健室に通勤?」


「…うっせ」




ソファへ座ると、隣にあいつもちょこんと座った。





「魁はともかく、陽那ちゃんはどうしたの?」


「…え?」





美佐子からの質問に、一瞬動きが止まった。

…確かに、いつもサボりに来る俺はともかく、具合が悪そうなワケでもなく保健室に来たこいつ。

どう言い訳するかと思えば




「…えへっ、私もサボりに来ちゃいましたっ♪」



…はァ?

何言ってんだ、こいつ?

そう思う俺とは違って、美佐子は



「あらァ、そう♪」



にこりと笑って、またパソコンへと向かった。

…いや、仮にも教員なんだからそれはねぇだろ?

俺は顔をしかめながら、とりあえずソファに腰を下ろした。

すると、こいつはいつものようにベッドの方に行くんじゃなく、俺の隣にちょこん、と座った。



―――…………、



保健室に響くのは、美佐子のキーボードを打つ音と、時計の針が進む音だけ。


――カタカタ…

    …チッチッチ――


本当はソファに横になろうと思ったが、こいつが隣に来たから当然なれるはずもなく、

この座った状態のまま必死に眠ろうとするが



…眠れねェ




 
< 28 / 33 >

この作品をシェア

pagetop