LONELY MOON ―ロンリームーン―
そう言ってにやりと笑ってみせるとこいつは、むー、と唸って、
「ひぇいっ!」
俺の頬もつねった。
だが、全然痛くなんかない。
本人は思いっきりやってるつもりだが、全く痛くない。
それでも必死に俺の頬を回すこいつの頬を引っ張って、パッと離した。
「もォ~っ、いきなり何するのよぉっ!」
少し赤くなった頬を抑えて、俺の方を横目で見た。
本人は睨んでるつもりだろうが、全く迫力がない。
逆に、上目遣いのようにも見える。
頬がほんのり赤くて、上目遣い――
そんな表情をしているこいつを直視できず、笑っていた俺は咄嗟に目をそらした。
「…もう、イジワルッ!!」
「ハッ、勝手に言ってろ」
「…フフフ」
俺がぶっきらぼうに返した言葉に、なぜか笑った。
なんだよ、とまたぶっきらぼうに言うと、にこりと笑って、
「そういうとこ、高田くんのいいトコだよねっ!!」
「…はァ!?」
…つくづく、こいつの言うことはいまいちつかめない。
「…そういうとこって、どういうとこだよ」
「面白いところ!!」
「はァ?」