LONELY MOON ―ロンリームーン―
 

「いいのよォ、気なんか使わなくても!
この人、ただ寝たいからって寝るのよ?勝手なヤローよねェ?」

「…いえ、本当に具合悪かったら大変だし!

それじゃあ、」



「…お前まだ寝てろ」



「え?」

「…もう一つベッドあんだろ?
俺はそれで寝る。
いいだろ美佐子」




少しだけ女と目を合わせた。が、すぐに美佐子の方へと視線を戻した。




「ダメね」

「!! 何でだよ!」

「だってあっちのベッド、お布団クリーニングに出しちゃってお布団ないんだもの。

直のゴツゴツのところに寝る気?」

「…でも「私、本当にもう大丈夫ですから!」




女は俺の言葉を遮り立ち上がった。

そのまま出て行こうとする女を、俺は引きとめようとした。

ドアの取っ手に手を掛けた女は、くるりと俺の方に振り向き、あの笑顔で、一言。




「そ、それじゃあお大事にっ!」




不意打ち、だった。





 
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