マザーグースの言う通り
「つーかーだ!」

しかし、塚田はこちらを振り返ることなくそのまますたすたと歩いていってしまった。あれ?聞こえなかったのかな?ならばもう一度。

「ちょっと、塚田!ねえってば、ちょっと無視しないでよ」

すると塚田がこちらを振り返る。やっぱ気づいてたんじゃん、と悪態をつこうとした時にあることに気づいた。

あれ、?塚田、もしかして怒ってる…?

塚田は表情がふだんからころころ変わるタイプではないので一見分かりにくいのだが、私には分かる。冷ややかな目、少し寄せられた眉。これは、確実に怒っている顔だ。どうしたというのだろう。

「えっと、塚田?どうしたの、?」

おそるおそる尋ねてみる。すると、思いもしなかった言葉が返ってきた。

「私の視界から消えて。うざいのよ。」

目の前の私の大好きな整っている顔が何か言った。えっと、そこまで怒らせるようなことをしただろうか。小さな頭をフル回転させて考えた。だが、思い当たる節はない。

「あの、ごめん。意味が分からないよ。」

少し戸惑いながら答える。すると塚田は1回息を吐く。本当にどうしたというのだろう。ゆっくりと塚田が口を開く。

「付き合って3ヶ月で浮気とか何?
平原と話すのがそんなに楽しかった?
だったら好きにすればいいけど、」

塚田がマシンガンの如く早口で話し始める。私には塚田が何を口にしているのかよく分からなかった。浮気?平原?まだ状況が飲み込めていない私に追い打ちをかけるように塚田はどんどん言葉を放ってく。

「馬鹿な尻軽女はそうやって誰にでも愛想振りまくのね?そんなビッチと付き合った覚えはないわよ。私はあなたのこと信じていたのに…。私ひとりで馬鹿みたいね。
心底呆れるんだけど。ねえ澤田、なんなの?」
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