金髪が、私を紅くしてくる。
「……違うよ。守賀くんを見ていたのは……えっと」
まっすぐで、綺麗な瞳に見つめられて。
……逸らすことも、逃れることも、上手くできない。
「あ……えっと……」
真っ赤になった私を見て、桐はさらに笑う。
「守賀のことは、またあとで聞くね。
返事も、あとで聞く」
そこで言葉を切ると、桐はニッと笑った。
さっきとは違う、こどもらしい、笑顔で。
「有葉を見てたら、りんご食べたくなってきたなぁ」
わざとらしく、桐は呟く。
「今日は、アップルパイを期待してるね」
……わかったよ、アップルパイは、いくつでも作るから。
これ以上、ドキドキさせないで。
……私の気持ちは、紅いりんごをつかった、あったかいアップルパイに、たくそうと思う。
END.