恋の実った瞬間
私には、桜という親友がいる。
桜は大人しいけどしっかりしてて、真面目で先生からの信頼も厚い。
そんな桜がなぜ、私の親友でいてくれるかはわからない。
でも、私は桜が親友でいてくれることを誇りに思ってるし、桜が大好きだ。
私はただうるさくて、後先を考えない行動をすることが多い。

こんな私にも、実は好きな人がいる。
それは、サッカー部の佐藤俊介。
俊介はいつもクラスの中心で騒いでるような人だ。

私は最初、俊介が嫌いだった。
私はサッカー部のマネージャーをしているのだけど、俊介はいつでもふざけている。
でも、気づいたんだ。
失敗したら、励ましたり、フォローしたりしていること。
準備も片付けも進んでやっていること。
そんな一面を知って、気づいたらクラスでも、部活中も俊介のことを目で追っていた。
目があったら、俊介は笑いかけてくれる。
この胸のときめきが、恋だと気づくのに時間はかからなかった。

でも、ずっと見ているから知ってる。
俊介が部活中に図書室の方を見て手を振っていること。
そして、その相手が…桜なこと。
やっぱり、桜と俊介が手を振りあっているのを見ると、胸がズキズキする。
けれども、私はこの気持ちを誰にも言っていない。
言ってしまったら、俊介に隠しきれなくなりそうだから。
言ってしまったら、きっと叶わないから。
そんな言い訳を自分にして、恋心を隠していた。
こんな毎日が続いていた。
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