【短編】キミに伝えたい好きがある
だけど、次の瞬間


グイッと強く腕を引かれて、彼のたくましい腕の中に抱き寄せられた。


「よかった、見つかった、よかった」


フーッて、息を吐いて何度もよかったと繰り返す彼。


どんなに、心配してくれていたかが、伝わってきた。


もっと、怒ってくれていいのに。


遼ちゃんは優しすぎるよ。


「ごめんね、遼ちゃん」


「心配したんだぞ、どこにいたんだよ?」


彼が切なげに呟くので、また泣いてしまいそうだった。


「どこにも、行ってないよ。考え事しながら歩いてたら遠回りしちゃってたみたいで、・・・探してくれてたんだね。ごめん」


「もう、勝手に帰ったらダメだぞ」


「うん」
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