【短編】キミに伝えたい好きがある
「勝手にどっかに行ったらダメだからな」


「うん、どこにもいかない」


私を抱き寄せる力は強くて、彼の腕の中で顔が、火照ってくるのがわかった。


凄く恥ずかしかったけど、くすぐったいくらいに嬉しかった。


「遼ちゃん、ごめんね」


顔を上げると、すぐ近くに彼の綺麗な顔がある。


愛おしそうに見つめらているから、目を逸らせなかった。


「アキちゃんのことを女の子だと思い込んでたの。知らなかったの。でも、ごめんね、ごめん」


彼を裏切るようなことを、知らず知らずにしてしまったことを後悔していた。


だけどまた、強く抱きしめられた。

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