【短編】キミに伝えたい好きがある
心は満たされていて、幸せだったからこれ以上はなんにもいらないと思った。


だけど、そんな風に言われるとちょっとだけ欲張りになる。


「ほんとになんでもいいの?」


「いいよ、なんでも言えよ」


白い歯を見せて笑う彼を見て、きゅうんと胸が鳴ったような気がした。


心に浮かんだのは、口に出すのが恥ずかしいことだったから、なかなか言えなかった。


だけど、赤い顔でじっと彼を見つめてしまった。


すると、彼はクスッと小さく笑ってから顔を近づけてきた。


ドキドキしながら目をギュっと瞑ったら、柔らかな感触に唇が包まれた。

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