【短編】キミに伝えたい好きがある
ふんわり甘やかな香りがして、頭の芯がぼうっとした。


ああ、恥ずかしい、私ったらおねだりしたみたいに思われたかな。


でも、しあわせ。


ゆっくりと、唇が離れる時に彼が呟いた二文字にビックリして目を見開いた。


「好き」


「え?うそ、いまなんて?」


信じられなくて、聞き返しだけど彼は横を向いてしまった。


「もっかい言って」


「一回しか言えない」


遼ちゃんの顔がうっすら赤くて、キュンキュンするくらい可愛い。


「お願い、遼ちゃん、もっかい」


腕にしがみついて哀願するけど、彼は楽しそうに笑う。


私の必死すぎる顔が面白いのかもしれない。


「男は何度も言えないんだよ。また、そのうちにね」


「えー、聞きたいよー」


「うーん、どうしょうかな」


彼はちょっと考えるようなしぐさをしている。

< 59 / 61 >

この作品をシェア

pagetop