ことほぎのきみへ
『幸せになるのに誰かの許可なんて必要ないよ』


昔、そう言ってくれた人がいた


『自分が本当に心からそうしたいって思うならいいんだ』


『だけど、しなくちゃいけないとか
するべきだって義務のように思って
縛られて生きているならそれは違うよ』



『誰かのために動くこと
人のために何かをすることに幸せを見出だす人はいる
でも、君は違う』


『きみの『それ』は
他人に自分の存在価値をつけてもらうため
罪悪感や負い目からのものだ』


『…そんなもの必要ないし
そもそも罪悪感や負い目なんて感じなくていいんだよ』



『君はもう少し楽に生きる事を覚えなきゃね』



その時の言葉を

頭にのせられた手のあたたかさを

あの優しい笑顔を


今でもふとした瞬間思い出す


その度に思う


あの時間をもう一度、と
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