ことほぎのきみへ
「……う、う……っえ」




「うわぁぁぁぁぁ……っ!」




大声で子供みたいに泣き叫んだ



波の音と競い合うようにあたりに響く




ずっとずっと耐えていた涙



あの頃の私の分の涙も一緒に流れてく




「……っ、…ご、めんなさ……
ごめんなさい……っ」


「…」


「……ごめ……なさい……っ!」




……ずっとずっと謝りたかった




お父さんに、花菜に、優に


お母さんに


……あの人に……

……………おばあちゃんに





進んでる、進もうとしてるのに
過去へ引き戻すみたいで言えなかった


止まってるのに
痛いままなのに、さらに痛くするような言葉を言えなかった


私は今でもずっと、罪悪感が消えなくて
ふとした瞬間
ごめんなさいって口にしてしまいそうになる


言わないようにいつも気を付けてた


自分が苦しいからって
少しでも楽になりたいからって


その言葉を口にするのはできなかった



でも


ほんとは今でもずっとみんなに


謝りたくて




「謝らなくていいんだよ」


「……私が……」


「きみは悪くない」


「私のせい、で……っ」


「誰のせいでもない」


「……っ、」



両手で顔を覆って、泣きじゃくる私を


そっと抱き締めて


あの人はあやすように私の頭を撫でる
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