ことほぎのきみへ
あの人の過去
……
……
……
しゃくりあげる私をソファーに座らせて
また、あの人は何も言わず傍にいてくれた
「…」
段々と涙や気持ちが落ち着いてきた頃に
「……あ。うるさい人が来る時間…」
不意に
壁にかけられた時計を見たあの人が
どこか嫌そうにぽつりと呟く
「……?」
…………うるさい人?
真っ赤になった目に
タオルにくるんでもらった保冷剤を当てながら
隣に座ってるあの人に疑問の眼差しを向ける
と
ガチャリと玄関が開く音が微かに聞こえて
ばたばたと忙しない足音がこちらに近づいてくる
「ひさと!
あんたね、あんだけ言ったのに
またカップラーメン食べたでしょ!」
バァン!と勢いよくリビングのドアを開けて
怒ったようにそう声を荒げて
入ってきたのは女の人
「…」
あまりにインパクトのある登場に
わずかに残っていた涙が引っ込んだ
びっくりして固まる私
そんな私に気づいたその女の人も
同じくらいびっくりした表情を浮かべた
「毎回思うんだけどさ
もう少し静かに登場してくれない?
矢那(やな)さん」
そろそろドアが壊れる、と
深くため息をつきながら
あの人はその女の人に
『矢那さん』に顔を向ける
「…………ひさと、あんた何女の子泣かせてんの」
「え?」
「……無理矢理、家に連れ込んだんじゃないでしょうね?!」
「…泣かせたのも、連れ込んだ事に関しても
否定はしないけど」
「はあ?!」
……
……
しゃくりあげる私をソファーに座らせて
また、あの人は何も言わず傍にいてくれた
「…」
段々と涙や気持ちが落ち着いてきた頃に
「……あ。うるさい人が来る時間…」
不意に
壁にかけられた時計を見たあの人が
どこか嫌そうにぽつりと呟く
「……?」
…………うるさい人?
真っ赤になった目に
タオルにくるんでもらった保冷剤を当てながら
隣に座ってるあの人に疑問の眼差しを向ける
と
ガチャリと玄関が開く音が微かに聞こえて
ばたばたと忙しない足音がこちらに近づいてくる
「ひさと!
あんたね、あんだけ言ったのに
またカップラーメン食べたでしょ!」
バァン!と勢いよくリビングのドアを開けて
怒ったようにそう声を荒げて
入ってきたのは女の人
「…」
あまりにインパクトのある登場に
わずかに残っていた涙が引っ込んだ
びっくりして固まる私
そんな私に気づいたその女の人も
同じくらいびっくりした表情を浮かべた
「毎回思うんだけどさ
もう少し静かに登場してくれない?
矢那(やな)さん」
そろそろドアが壊れる、と
深くため息をつきながら
あの人はその女の人に
『矢那さん』に顔を向ける
「…………ひさと、あんた何女の子泣かせてんの」
「え?」
「……無理矢理、家に連れ込んだんじゃないでしょうね?!」
「…泣かせたのも、連れ込んだ事に関しても
否定はしないけど」
「はあ?!」