ことほぎのきみへ
忙しないながらも、わいわいと楽しげな空気が流れてる放課後の教室


「ねー、資材足りないー!」

「誰か家庭科室から道具持ってきて~っ」

「おい!ごみ、ここに置くなって!!」


飛び交う色んな声を聞きながら
私はレシピ担当の皆と
持ち寄った案について意見を交わしていた


「やっぱり、ボールドーナツがいいね
持ち運びできるように
紙コップみたいなのにいれてさ」

「うんうん」

「アニマルドーナツ可愛いけど
手間かかりそうだし……」

「そうなんだよね」

「これなら
ひと口サイズで小さい子でも食べやすいし
つまようじ的なのつければ手とか汚れないし」


私の他にいる3人のクラスメイトも皆
やっぱり似たような事を思ったみたいで


つくりやすい
食べやすい
持ち運びができて、手が汚れない


すべてをクリアしたボールドーナツが
最有力候補として残った


「ボールドーナツの味やコーティングとか工夫して、紙コップとかつまようじとかも可愛いものにすれば結構いい感じになりそう」

「よし。じゃあ作るのはボールドーナツにしよう!」

「じゃあ詳しい作り方とか、味付けとかは
あたしと、はる、さいねが調べて考えるから
柳ちゃんは包材担当でいい?」


そう問いかけてくるのはつばきちゃん

チラシ作成の仕事とこっちの仕事を
かけもちしてる私を気にしてくれて
それとなく負担の少ない仕事をまわしてくれる


正直、向こうのアイデアが全然浮かばなくて
手こずっていたから助かる

つばきちゃんの気遣いに感謝しながら私は頷いた
< 142 / 252 >

この作品をシェア

pagetop