ことほぎのきみへ
「…いろはちゃんが支えになりたい人って
もしかして、前にいろはちゃんを助けてくれた人?」

「……どうして分かったの?」


運ばれてきた料理を前にして
何かを考えるように口を閉じていたゆまちゃんが
躊躇うように聞いてきた

言い当てられて驚く私

そんな私にゆまちゃんは
言うのを悩むように視線をさ迷わせて


でも


口を開いた



「……いろはちゃん、今は自覚してる?」

「……自覚?」



何を?と首を傾げる私にゆまちゃんは真顔で言う



「その人の事が好きだって事」

「…」



言われた言葉にいつかのように私は固まって
目を見開いたまま、ゆまちゃんを見返した


……
…………ゆまちゃんが言った「好き」は


ゆうりと同じ意味の「好き」だ



異性として

恋愛の意味で

私がひさとさんを好きだって言ってる



「……皆で旅行に行った時に思ったの
いろはちゃんがお祭りで再会したって言った人
その人が昔いろはちゃんを助けてくれた人だって聞いた時、その人が男の人だって答えた時」


「その時の
いろはちゃんの声と、表情を聞いて見た時」


「その人はいろはちゃんにとって
とっても大事で大切で大好きな相手なんだって
思ったの」


驚きと動揺で困惑、混乱してる私を
なだめるようにゆっくり優しく話すゆまちゃんは
それでも確信めいた表情を浮かべてて


私自身がまだ理解してなかった
ひさとさんに対して抱いてるこの感情が
恋だとはっきりと宣言した
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