ことほぎのきみへ
……
……
……



「……か……」



伸ばした手にすりすりと頬擦りをする
ふわっふわの生き物

ゆらゆら尻尾を揺らして

ごろごろ喉を鳴らしながら
甘えるようにすり寄ってくる



「……かわいい…」



あまりの可愛さに発した声がふるふると震える

もうさっきからかわいい以外の言葉が出てこない



連れられてやってきたのは………


猫カフェだった


看板を見ただけじゃ
なんの店か分からなかったけど

入った瞬間にすぐ気付いた


店内に足を踏み入れた瞬間に
たくさんの猫達が一斉に足元に駆け寄ってきたから

どの子もみんな人なつっこくて甘え上手で
私はその可愛さに心臓を撃ち抜かれた


「矢那さんの知り合いがやってる猫カフェなんだ
一階では普通に食事もできるから
お昼はここで食べよ」


そのオーナーさんとは
ひさとさんも面識があるらしい

奥でその人と話していたひさとさんは
腕に子猫を抱えて戻ってきて

言いながらその子猫を私に委ねた



「みゅー」


「っ!!!」



ずきゅーん!


そんな効果音がつきそうなくらいの衝撃


私の腕の中でじっとこっちを見上げて
甘えるように何度も鳴いて存在を主張する


つぶらな瞳に
小さな手足
まだ短い尻尾がぴこぴこ揺れてる



「…っつ!か、……かわ……っ」



かわいすぎる……っ!
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