ことほぎのきみへ
聞き覚えのある声に顔をあげる

だけど、そこにいたのは



「…」



……綺麗な、女の人だった


…………?


あ、あれ……
でも、今の声は悟先輩で間違いない…はず…??



「どうした?どっか怪我したか?」



心配そうな顔でしゃがみこむその人

大きく両膝を開いてしゃがみこむものだから

……スカートの中が見えそう


何故か私が赤くなって焦る



でも、やっぱりその声は



「さ、悟先輩……っ?」

「?おう」

「ど、どうしたんですか
その格好」

「亜季から聞いてねーか?
俺のクラス、男女逆転喫茶」

「……初耳です」


差し出された手をとって起き上がり
まじまじと先輩を見つめる


「そんなに変か?
かなり完成度たけーって言われたんだけど」

「いや、恐ろしいくらい似合ってます」

「だろ?今日もすでに3人に告白されてっから
…………相手、全員男だけど」



フリルがたくさんのピンクのエプロンドレス

白とピンクのボーダーのニーハイソックス


ウィッグだろうけど
背中までの長さの髪をハーフアップにして
生地と同じくパステルピンクの大きなリボンで可愛く飾ってる


不思議の国のアリスを意識したのかな

水色じゃなくてピンクカラーだけど



「メイクもしてます?」

「あ~、女子が気合入っちまってな
他のやつにはここまでしてねーんだけど
なんか知らんが俺だけな」


……もともと
女子顔負けの綺麗な顔だなぁとは思ってた

なんにもしなくてもそう思うのに
メイクなんてしたら、それはもう


かなり……可愛い


どこかのアイドルやモデルのよう


この人が男の人だって言われたら
世の女の子は皆、女子をやめたくなるだろう
< 186 / 252 >

この作品をシェア

pagetop