ことほぎのきみへ
突然の登場にその場にいた人皆が驚く


「……びびったー
何?このちび。てか男?」


一番に言葉を発したのは
ゆうりに絡んでいた背の高い男

最初はびっくりしてたけど
目の前に現れた悟先輩をじっと見下ろして

その姿を嘲笑う


「随分綺麗な顔してんな?女かと思ったわ」

「……あ?」


あからさまな嫌味と挑発に
気が立ってる様子の悟先輩は食い気味に反応する

だけど

腕の中で不安そうな表情を浮かべてるゆうりに気付いて
自分を落ち着かせるように目を伏せ、息を吐いた



「てか、こいつ
きみの男?」

「…」

「こんなひ弱そうなの止めてさ
俺にしとこーよ」



懲りもせず、ゆうりを口説いて
またゆうりに触れようとする


さっき触れられた感触を思い出したんだろう

怖がるようにびくりと身を竦めるゆうり



だけど



「……ってぇ!!」



男の悲鳴が響く



伸びてきた手を

悟先輩が今度はがっちり掴んで捻りあげたから




「……だから、触んなっつってるだろ」




普段よりも何倍も低い威圧感のある声
纏う雰囲気も鋭くて、怖い



「……っ、こいつ、力つよ……っ!」

「…このままへし折ってやろうか?」

「っ……わ、わかった……!その子は諦める!
だから、見逃してくれ……っ!!」


さらに力を込めようとする悟先輩を見て
男はさぁっと青ざめて、慌てて頭を下げる
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