ことほぎのきみへ
「……いつも……私ばっかり…」


喜んだり

迷惑や面倒をかけてる



「いろはは
俺の言葉、信じてない? 」

「……え?」

「俺は本当に迷惑だとか面倒とか思ってないよ
前にも言った」



……あ。



『俺、自分がしたくないことはしないよ』

『面倒だって思ったら最初から関わらない』




「…ちが、違います
信じてないとか…そういうことじゃなくて……」


焦って、しどろもどろになる


……うまく言えない


ただ私はこの人に、そんな風に思われたくない

面倒なやつだとか迷惑ばかりかけられるとか

……嫌われたくないから


だけど、そう思ってる時点で
私はひさとさんの言った言葉を疑っていることになる?


ひさとさんを信じてないってことになる?



「…」

「ごめん。別に怒ってるわけでも責めてるわけでもないんだ」


深刻な顔で黙りこむ私を見て
ひさとさんははっとしたように私に謝る


「俺はただ、いろはが笑ってくれたらいいってしか思ってない」

「……どうしてって聞いたら
今度は教えてくれますか?」

「自己満足だって言わなかった?」

「言いましたけど…なんで私が笑うのが自己満足に繋がるんですか?」

「…」



前にも言われた


『きみが笑ったり喜んでるのを見るのが好きなだけ。俺のため。自己満足だよ』



「言いたくないならいいんです
でも、そうじゃないなら知りたいです」



そう思ってくれる理由を
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