ことほぎのきみへ
『死んだわけじゃない』
『人生が変わるような大きな怪我や障害を
負ったわけじゃない』
『左手が使えなくなったわけじゃない』
『リハビリをすれば元に戻る』
『たとえ、左手が使えなくなっても
右手で絵を描けるから問題ない』
……ちがう
そういうことじゃない
そうじゃない
本当なら、その傷や痛みは私が背負うものだった
私の代わりにひさとさんが痛い思いをした
苦しい思いをした
私を庇ったことで
ひさとさんは大事なものを失う危険に晒された
命と、命と同じくらい大事なもの
私は一番大切な人の命を
一番大切にしているものを奪うところだった
大切な人を
一番、大切にしたい人を
他でもない私が
傷つけて、苦しませた
ひさとさんが入院してる間も
自分の事で手一杯で、何も出来なかった
ひさとさんの顔を見るのが
声を聞くのが怖くて逃げた
現実を受け止められなくて
閉じ籠って泣くことしか出来なかった
『……お母さんっ!!』
『ねぇ……っおきて……っ』
『うわぁぁーん……っ!!』
…………『あの時』と全く同じ
私は、何も変わってない
『人生が変わるような大きな怪我や障害を
負ったわけじゃない』
『左手が使えなくなったわけじゃない』
『リハビリをすれば元に戻る』
『たとえ、左手が使えなくなっても
右手で絵を描けるから問題ない』
……ちがう
そういうことじゃない
そうじゃない
本当なら、その傷や痛みは私が背負うものだった
私の代わりにひさとさんが痛い思いをした
苦しい思いをした
私を庇ったことで
ひさとさんは大事なものを失う危険に晒された
命と、命と同じくらい大事なもの
私は一番大切な人の命を
一番大切にしているものを奪うところだった
大切な人を
一番、大切にしたい人を
他でもない私が
傷つけて、苦しませた
ひさとさんが入院してる間も
自分の事で手一杯で、何も出来なかった
ひさとさんの顔を見るのが
声を聞くのが怖くて逃げた
現実を受け止められなくて
閉じ籠って泣くことしか出来なかった
『……お母さんっ!!』
『ねぇ……っおきて……っ』
『うわぁぁーん……っ!!』
…………『あの時』と全く同じ
私は、何も変わってない