ことほぎのきみへ
『……最後に、伝える事だけはしておいてもいいんじゃないの?』



私の決意を覆すことは出来ないと感じたんだろう
諦めるような表情を浮かべた後にゆうりは言った

ゆまちゃんも黙って私を見てる



……



『…………ううん。伝えない』



間が空いたのは
心にほんの少し未練があったから

気持ちを伝える事が出来てなかったことに


だけど、決めたから



ひさとさんから離れることを



なら、伝える必要なんてない
最後にわざわざあのひとを困らせるようなことをする必要はない




『……伝えるのは『さよなら』だけでいい』




『いろは』


『いろはちゃん』


『……』




浮かべた苦しい笑顔に
3人とも悲しそうにしていた
< 247 / 252 >

この作品をシェア

pagetop