ことほぎのきみへ
「その時がきたら、驚くくらい
あっさり口にできちゃうものだから
…まあ、言った後に
恥ずかしくなったり、逃げたくなったり
怖くなったり
色々感情が大変なことにはなるけど」


実際の体験談か

ゆまちゃんは少し顔を赤くさせて、頬を掻きながら
言いづらそうに言葉を付け足した



「そっかぁ…」

「とりあえずさ、悟君ともっと話せるようにならなきゃ」

「…ん」

「というわけで
早速悟君呼んでくるよ!」



「…。……え、ちょっ、!?
う、嘘でしょー?!ま、待ちなさい!」



言うなり立ちあがり
軽やかな足取りで嬉々として部屋を出ていく亜季

いきなりだったのでゆうりの反応が遅れる

慌てて立ちあがり、もつれながらも後を追う



がたん!

どたん!

ばたばたばた…っ


追いかけっこが始まった


「呼ばなくていいからー!」

「女は度胸だよ~!ゆーちゃん!」



そんな騒がしい声が徐々に遠ざかっていく






「賑やかだねぇ」
「そうだねぇ」

取り残された私とゆまちゃんは
顔を見合せ笑い

机の上のお菓子に手を伸ばした
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