ことほぎのきみへ
午前の授業もあっという間に終わりお昼休み


ゆうりと別クラスの友達、亜季(あき)と一樹(かずき)と一緒に中庭でご飯を食べる


中庭のベンチはいつもすぐ埋まってしまうから

亜季が持参したレジャーシートの上で



「今日のごはんはな~んだろ~♪」


鼻唄混じりに上機嫌にお弁当箱を取り出すのは亜季

毎回の事だけどお弁当ひとつではしゃぐ姿がかわいらしい


その幼い言動や仕草からうちの弟妹を連想してしまってついつい面倒をみてしまう



「おお!オムライス!やった!」

「良かったね。好物じゃん」


購買で買ってきたパンを頬張りながら
ゆうりが亜季のお弁当箱を覗きこむ


「いぇーい!」


ばんざーいと人目もはばからず大はしゃぎの亜季
私もそのお弁当箱の中身を覗きこむ


「亜季のお母さん
相変わらずおしゃれな料理つくるね」


亜季のお母さんは料理上手だ

毎回手の込んだおかずをお弁当箱につめてる

最近はキャラ弁にはまってるらしい


この前の亜季のお弁当は某有名アニメの
とても初心者が作ったとは思えない
ハイクオリティーな出来のキャラ弁だった


「うん?おしゃれなのかな?」

「恩恵を受けてるやつはこれだから…」

「あ、ゆーちゃん
羨ましいんでしょ~?」

「購買の一個百円のパンを食べてる私の身にもなれ」

「仕方ないなぁ~
おかずを分けてしんぜよう」

「亜季様!ありがとう!」



ころりと手のひらをかえすゆうりに
ふふんと得意げな亜季


二人のコントのようなやりとりを眺め

隣でおにぎりを頬張りながら黙々とスマホを
いじっている一樹に声をかける
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