ことほぎのきみへ





飛び起きるように目を覚ました


どくんどくんとうるさい心臓


汗ばんだ自分の額を拭って
深く息を吐き、両手で顔を覆う



「…」


……痛い

ズキンズキンと痛むのは心


痛くて痛くて仕方ない



……でも、きっと

私よりもあの人はもっと痛いんだろう


今も


あの時からずっと





「……耐えなきゃ……」



どれだけ痛くても苦しくても耐えないと

これは罰なんだ


皆に許してもらえるわけないんだから

本当は許してもらえないのが
当たり前の事なんだから



……泣くな。泣くな



泣くなんて、許されない




血の味がするくらい唇を噛み締め
一日目の夜を終えた
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