ことほぎのきみへ
冷房のきいたリビングに入るなり
亜季は生き返った~っと

まるで自分の家でくつろぐかのように
ラグの上にだらりと寝転んだ


「ごめんね~。急に来て」

「それはいいけど、どうしたの?」


冷蔵庫からジュースと
戸棚からお菓子を取り出して

それを亜季に振る舞いながら問いかける



「暇だったの」

「そうですか」

「まなぶ君は今、お友達のとこだし
まーちゃんとかず君はデートだし
つゆ君と悟君は出かけてるし
ゆーちゃんからは逃げてる最中だし」

「逃げてるって…
やっぱり怒られたんだ?」

「あれは照れ隠しさ☆」


笑ってごまかす亜季に私は肩を竦める



「ゆうりと悟先輩、どんな感じなの?」

「悟君はゆーちゃんの事、少し気にし始めてるかな」


起き上がった亜季はテーブルに置いたお菓子を頬張りながら

どことなく嬉しそうに話す


「悟君にぶちんだけど、
ほら、ゆーちゃんがかなり分かりやすいから」


そして亜季はスマホを取り出して
私にたくさん写真をみせてくれた


例の盗撮写真だ


わざわざ専用フォルダを作って


『ゆーちゃんの恋愛観察日記♥』


なんて名前をつけてる


……これこそゆうりが知ったら激怒しそうだ

スマホを真っぷたつにされそう
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